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[No.282-2]友だちの鏡

No.282-2

「な、なにさぁ!」

意味が分からない返事をしてしまった。

「失礼ね!おでこにシワなんて、ないわよ」
「そう?」

いつになく友人が冷静だ。

「最近、悩みごとでもあるの?」
「えっ!?」
「眉間のシ・ワ・・・すごいわよ」

今度は私が冷静に戻った。
今、社内の大きな仕事を任されている。
けど、思うような結果はまだ出せていない。
そんな焦りが影響してか、彼とも上手く行っていない。

「・・・そんなに難しい顔・・・してた?」
「まぁ・・・ね、見てて痛いほど」

知らなかった・・・。
自分で自分は見えない。
見えないというより、見る余裕がなかったのかもしれない。

「鏡になってくれて・・・ありがとう」
「なんのこと?」

分かっているのに、分からない振りをしている。
穏やかな表情を見れば分かる。
友人のさりげないやさしさに張り詰めていた気持ちが弾けた。
何かが伸びきったような・・・そんな心地よい脱力感が体を覆った。

「そうそう!それそれ!・・・今の感じ!」

(No.282完)

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