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[No.280-1]赤ペン先生

No.280-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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それは一通のメールから始まった。

送り主は、同僚の女性だ。
・・・とは言え、歳は随分と離れている。
勤務地こそ違えども同じ部門だ。

「なんだろう?」

タイトルは“新入社員の件”となっている。

(確か・・・今、研修中だったよな?)

研修中とは言っても“受ける”方ではない。
合間を縫って出張先の研修センターからメールをくれたようだ。
その出張先に、自分もつい先日まで居た。
メールのタイトルと同じく、新入社員の教育のためだった。

『日報のコメントを読みました』

彼らは毎日、日報を書く。
それに対して、ひとりひとりにコメントを返すのも我々の仕事だ。

『私の時と変わらず・・・』

メールの内容は実に照れくさいものだった。
そう・・・彼女はかつての教え子だった。
そんな彼女も今では、コメントを書く立場になった。

(当時はひどかったよな、みんなの内容・・・)

社会人1年生には慣れていた。
それであっても、彼女達の時代は何かと問題が多かった。
でも、結果的には一番印象に残ることになった。

『・・・赤ペン先生みたい』

メールの中盤にはそう書かれていた。
コメントを赤で書く習慣があり、それを例えたようだった。

(No.280-2へ続く)

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