[No.278-2]群れの外
No.278-2
「・・・寂しげに見えるからだろ?」
「えっ!?」
直球を投げられ、一気に気持ちに整理がつき始めた。
そうなんだ・・・寂しげな姿が以前の自分と重なる。
群れからはぐれたと言うより・・・。
「群れから出された?」
「自分から出て行った、が正解かな」
「そっか・・・」
それ以上は何も聞いて来なかった。
隠すつもりはないけど、積極的に話すようなことでもない。
その雰囲気を察してくれてのことだろう。
「群れてるイメージがあるから、余計に寂しげに見えるのね」
「実際、寂しいかどうか聞いてみる?」
「ハト・・・に?」
冗談だと分かっていても、聞いてみたい気もする。
「君なら、その気持ちが分かるんじゃない?」
「わたし?」
嫌な思い出として残っている。
でも、寂しかったどうかは別の話だ。
「やっぱり、寂しかった?」
群れから孤立した私は、周囲からはそう見えたかもしれない。
でもそうじゃない。
目の前の鳩のように、何食わぬ顔して生きている。
そんなふてぶてしは持っていた。
「そう見えるだけで案外、本人は気にしてないのかもね」
(No.278完)
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