[No.278-1]群れの外
No.278-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(男性)
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たまに、一羽だけでウロウロしている鳩(ハト)を見かける。
それが今も目の前にいる。
「俺もあるけど・・・それが?」
彼が疑問に思うのも無理はない。
まだ話の途中だ。
「ほら、鳥って群れをなしているイメージでしょ?」
「まぁ・・・そうだな」
その中でも、鳩は特に群れている感じがする。
「だから逆に、一羽だけでウロウロしてると・・・」
鳩が好きではなくても何だか心配になる。
「理解できるような、できないような話だな」
彼が困った表情を見せた。
実は・・・言い出しておいて、私もそんな気持ちだ。
たかが鳩相手に、何を心配すると言うのであろう・・・。
「それなら、ススメだって・・・どうして鳩なの?」
確かにスズメだって身近な存在だ。
でも小さくて目立たないからだろうか。
「そうね・・・憎めない存在だからかな?」
特に公園でよく見かける、あの図々しい態度。
一定の距離を置きながらも、エサを目当てに寄ってくる。
「わかる、わかる!蹴散らしても“はい、そうですか”的な」
そう言い終えると、急に神妙な顔つきになった。
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