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[No.277-1]異人館

No.277-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
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「異人館に行ってみない?」

彼のその一言に複雑な想いが交錯した。

「う、うん・・・いいけど・・・」
「気乗りしない?」
「そうじゃないけど」

彼は知ってるのだろうか?
神戸の異人館には、あるジンクスが存在する。

「うみ・・・」
「そうだ!砂浜を歩きたい!」

とりあえず、反対方向へ逃げておこう。

「構わないけど」
「じゃ、その後に行くか?」
「えっ!」

どうやら逃げられそうにない。

(知ってて誘ってるのかな?)

そうだとすれば大問題だ。
ただ、今は素直に聞く勇気がない。
正直、この所、彼とは上手く行ってないからだ。

(別れのサイン・・・?)

「・・・どうした?」
「あ・・・なんでもない」

いつになく爽やかな表情が逆に怪しい。
何か・・・ふっきれたようにも感じるからだ。

(No.277-2へ続く)

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