[No.274-1]気になる写真
No.274-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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デジカメで写した、ある一枚の写真を見ている。
パソコンの画面で見て、初めてそれに気付いた。
撮った時は気付いていなかった。
「なぁ・・・写真撮らない?」
「写真?いっつも撮ってるやん」
デジカメが主流になってから、写真は気軽な存在になった。
つい意味も無く撮ってしまうことさえある。
「ごめん、主語が抜けてた」
「一緒に撮らない?」
よく考えなくても、那央(なお)ひとりの写真しか持っていない。
僕が写真嫌い・・・というのも理由のひとつだった。
「撮ったこと、無かった?」
那央とは友人とも恋人とも言いがたい、不思議な関係だ。
近すぎず、遠すぎず・・・の答えのつもりでいた。
一緒に写真を撮らないことが。
「だめか?」
「別に、かまへんよ」
ただ、関係が長くなるにつれ、多少気持ちに変化があった。
だから、その答えとして写真を選んだ。
「じゃ、ケータイも一緒に」
「・・・どうして?」
「同じストラップ、ついてるやん!」
確かに、お互い那央が好きなキャラクターをぶら下げている。
「まぁ・・・いいか」
携帯を手に、デジカメのシャッターが切られるのを待った。
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