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[No.273-1]傘の中

No.273-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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私にとっては、軽い照れ隠しのつもりだった。

「照れ隠し?」
「うん・・・本当に深い意味はなかったんだけどね」

最近、彼氏とすれ違いが続く、友人の相談に乗っていた。
その流れで、高校の時の苦い経験を思い出した。

「場の空気が変わったから、つい・・・言っちゃって 」

ある雨の日、私たちはひとつの傘の中に居た。
ふいに会話が途切れ、雨音だけがやたら耳についた。

「・・・で、彼が、その・・・」
「キスを迫られたんでしょ!」
「まぁ・・・そんな感じ」

“未遂の未遂”・・・と言えば良いのだろうか?
実際に迫られたわけでもないし、それに似た行動もなかった。
直感的に、そんな感じがしただけだ。

「それで・・・」
「なんて言ったの?」
「“友達と居るほうが楽しい!”って」

何の脈略もなかった。
なのに、あのタイミングでなぜ、そんなことを言ったのか・・・。
その答えは今でも分からない。

「また・・・すごい一言を言ったものね」

本音でもなく、日頃から思っていたことでもない。
それなのに・・・。

「今で言う、テンパッてたんじゃない?」
「そうだと思う・・・」
「もちろん、彼もよ」

友人が言うには彼もそうだったと言う。

「彼に余裕があれば、笑い話で済んでたかもしれない」

私の照れ隠しに気付いてさえくれていたら・・・。
つい、自分に都合の良いように考えてしまう。

(No.273-2へ続く)

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