[No.271-1]笑顔
No.271-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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友人の動きがさっきから変だ。
動きと言っても、顔の動きだが・・・。
「何してるの?さっきから」
しきりに表情を変化させている。
口角を上げたり、目を細めてみたり・・・。
とにかく、顔のパーツを慌しく動かしている。
「ん?見ての通りよ?」
「それで分かんないから聞いてるの!」
聞けば要領の得ない話をしてきた。
「・・・要約すれば、笑顔を作る練習ね?」
話の前段は抜きにしても、確かに笑顔は“作る”という。
泣き顔や怒った顔を“作る”と聞いたことはない。
「だから、それを確かめていたの」
一見、馬鹿げた話のようにも思える。
でも、笑顔は無意識でも意識的でも顔のパーツが動く。
と言うより、動かないと笑顔にならない。
「ほら、怒った顔は・・・」
そうなんだ。
目が釣り上がる・・・実際にあるのかもしれない。
けど、どちらかと言えばそれはイメージの世界だ。
怒った顔は表情ではなく、態度や言葉がそれを代弁する。
「なんていうか・・・作る・・・となるとね」
「そうね、無理やり・・・っぽく、印象は良くないね」
それこそ、作り笑い、作り笑顔・・・だ。
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