[No.269-2]幻の女
No.269-2
「どういうこと!」
少し強い口調で、彼を問い詰めた。
「い、いきなり、なんだよ!?」
ドラマでよく見掛ける展開が今、繰り広げられようとしている。
「・・・浮気してるでしょ?」
「な、なんだよ!急に」
すぐさま否定しないところが怪しい。
でも、なぜだか慌てた様子は感じられない。
「当然だろ?浮気してないんだから」
「そんなの心の準備してたら、いくらでも対処できるじゃない!」
根拠が無い話だとは分かっている。
それでも追求せずには居られない。
「堀井美里って・・・誰?」
「・・・手帳見たのか・・・?」
「・・・というより、わざと見せたんじゃない?」
「ぷっ!・・・あはは」
彼の大笑いは、私の勘違いを一蹴することになった。
「打ち間違い?保有率・・・?」
「あぁ・・・変換したら、偶然にも女性の名前になったんだ」
その瞬間だけ現れた人・・・だから幻の女・・・か・・・。
「それが妙に印象的で、つい手帳に走り書きしたんだ」
「ねぇ・・・そのメモ、残さない?」
なぜだか、そんな気になった。
(No.269完)
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