[No.267-2]ゆれて湘南
No.267-2
「自分で言ってたんだ・・・似ていると」
でも、その時は誰だかすぐには分からなかった。
僕とは年代が違い過ぎるアイドルだ。
「その頃は、特に調べもしなかった」
それでも、意識すればチョクチョク名前が耳に入ってきた。
「その彼女とは?」
「色々あってね・・・」
「是非、その色々を聞きたいわね!」
冗談半分、本気半分・・・と言った表情をしている。
「話の流れが変わってきてないか?」
「・・・そうかなぁ~?」
今更、こんな話をしたのには理由があった。
そのアイドルの“現在”の方が若い時よりも彼女に似ている。
「ちょっと違うわね」
「違う?」
「重ねたのよ、彼女が同じような年齢になった時と」
最初は言っている意味が分からなかった。
「・・・で、顔を見たら次は声を聞きたくなるわよね?」
勝手に話を進めて行く。
「電話番号なんて、もう知らないよ!」
「iPod出してよ」
「えっ!」
これだから女性は・・・何事にも鋭い。
「そのアイドルの歌、ダウンロードしたでしょ?」
(No.267完)
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