[No.264-2]食いしん坊
No.264-2
「せいじゅうろうが一本食べたあと、うちも食べた」
写メがなんとなく、それを物語っている。
かなり、想像を飛躍させないと行けないが・・・。
「確かに・・・食べ終えた串が2本写ってるな」
話のつじつまは合っている。
「美味しかった?」
「うん!せいじゅうろうも、そう申しておりました!」
他人からすれば馬鹿馬鹿しい話をかなり本気で話す。
それに俺も本気で付き合う。
「それにしても夜にだんごは・・・なくない?」
「せやかて、せいじゅうろうが好きなんやもん」
まぁ・・・好き嫌いに関係なく色は似ている。
どちらも、だんご色だ。
「じゃ・・・最後の1本はせいじゅうろうが食べたの?」
写メには、もう1本写っているからだ。
「ううん、違うよ」
「じゃあ、菜緒?」
「ううん、うちでもない」
そう言い終えると、かばんの中をゴソゴソし始めた。
「えっ!まさか・・・」
予想に反して、だんご屋の割引券が出てきた。
「キイロイトリに食べられてしもうたんや、だからお詫びに」
一見奇妙な会話もふたりなら、ごく自然に成立する。
(No.264完)
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