[No.263-1]ナオちゃんタクちゃん
No.263-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-------------------------------
「そっちこそ!」
「私の自由でしょ!」
お互い大声を張り上げた瞬間、冷静に戻った。
周りの客達の視線が突き刺さったからだ。
「・・・まぁ、卒業以来だから・・・な」
「うん、2年振りだね」
実家の隣に住む幼なじみが居る。
同じ高校にも通っていたが、卒業を期に疎遠になった。
心情的なものではなく、物理的な距離のためだった。
「仕事は順調?」
「まぁ・・・な」
GWを利用して、彼が帰省してきた。
卒業してから初めてのことだった。
「それより、なんだよ・・・その髪の色?」
さっきより、トーンも口調も柔らかくなっていた。
「・・・見ての通りよ、あなただって・・・」
目の前でプカプカとタバコを美味しそうにふかしている。
「いいだろ?吸っていい歳なんだから」
お互い相手にケチを付けている。
でも、彼が一言言いたい気持ちも理解できる。
きっと、私と同じ理由だと思うからだ。
| 固定リンク | 0
「(011)小説No.251~275」カテゴリの記事
- [No.275-2]何が見えるの?(2011.06.22)
- [No.275-1]何が見えるの?(2011.06.19)
- [No.274-2]気になる写真(2011.06.17)
- [No.274-1]気になる写真(2011.06.16)
- [No.273-2]傘の中(2011.06.14)
コメント