[No.262-1]解けた氷
No.262-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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最初の印象は、良くなかった。
「これは、こうして頂かないと」
言葉は丁寧でも、いわゆる事務的な感じがある。
それよりも印象を悪くしている理由は他にあった。
信頼されてない・・・そんな態度が見え隠れしていた。
「いきなり、カミングアウトしたわね」
優実(ゆうみ)と昔話に花が咲いた。
それも、彼女と出逢った頃の話までさかのぼった。
「そんな風に見えたの?」
彼女が居た部署に僕が異動した。
そして、僕の部下になった。
「見えたと言うより、実際そうだっただろ?」
「まぁ、否定はしないけど」
最初は単に“そんな奴”だと思った。
新参者の上司に対する“歓迎”だとも考えた。
「でもな・・・何か理由があると思ったんだ」
「良く分かったわね」
大袈裟だけど、瞳の奥に何か訴えるものを感じていた。
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