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2011年5月

ホタル通信 No.074

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.179 確実な一品   
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

この小説のテーマ、分かりますか
小説のタイプとしては、“謎解き風”で「確実な一品って何?」が軸になった話です。

この話は、小説上の男性の願望を形にした話で、最後の3行を言いたいがための“長い前振り小説”です。
ただ、願望と言っても、女性から想われたい・・・という願望ではなく、里美(さとみ)に幸せになって欲しいという願望です。
現実の里見が幸せではなかったことへの裏返しとも言える作品です。

直接的に、幸せ、不幸せをテーマにしようかとも考えたのですが「幸せを手に入れる」のような表現が多いため、それならばそれを一旦、“物”として考え、今のアイデアにたどり着きました。
従って、このような会話は実際には行われておらず、これについては実話度はゼロです。
ただ、小説の根底に流れるものは100%事実であり、その事実を語るために、あえて嘘の話をでっち上げたようなものです。

手前味噌ですが、ショートショート風に、そこそこ仕上がっているのですが“冬のホタルらしい”独特な世界観は控えめです。
あえて意味不明な独りよがりな話こそが、当ブログの真髄なんですよ。
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[No.269-2]幻の女

No.269-2

「どういうこと!」

少し強い口調で、彼を問い詰めた。

「い、いきなり、なんだよ!?」

ドラマでよく見掛ける展開が今、繰り広げられようとしている。

「・・・浮気してるでしょ?」
「な、なんだよ!急に」

すぐさま否定しないところが怪しい。
でも、なぜだか慌てた様子は感じられない。

「当然だろ?浮気してないんだから」
「そんなの心の準備してたら、いくらでも対処できるじゃない!」

根拠が無い話だとは分かっている。
それでも追求せずには居られない。

「堀井美里って・・・誰?」
「・・・手帳見たのか・・・?」
「・・・というより、わざと見せたんじゃない?」
「ぷっ!・・・あはは」

彼の大笑いは、私の勘違いを一蹴することになった。

「打ち間違い?保有率・・・?」
「あぁ・・・変換したら、偶然にも女性の名前になったんだ」

その瞬間だけ現れた人・・・だから幻の女・・・か・・・。

「それが妙に印象的で、つい手帳に走り書きしたんだ」
「ねぇ・・・そのメモ、残さない?」

なぜだか、そんな気になった。
No269
(No.269完)

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[No.269-1]幻の女

No.269-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-------------------------------
「ホリイ・・・ミサト・・・?」

無造作に彼が手帳を開いていた。
だから見るつもりがなくても、その文字が飛び込んできた。

(堀井美里・・・だれ?)

今まで一度も聞いたことがない名前だ。

(有名人?それとも単なる知り合い?)

それに妙なことも書かれていた。

「“幻の女”・・・って・・・なにさ?」

名前に続くようにそれが書かれていた。
何らかの関係があるのは明らかだろう。

(それにしても・・・・)

幻の女・・・名前にも増して、十分気にはなる。
ただ、今は彼との関係の方が気掛かりだ。
少なくとも男性ではないからだ。

(浮気・・・してる?)

どうしても、悪い方へ考えが飛躍してしまう。
けど、それなら積極的に隠すはずだ。
それが、こうもオープンにしていることは逆に変だ。

「・・・わざと・・・なの?」

もしかしたら、別れたい・・・ことへの意思表示かもしれない。
考えれば考えるほど、悪い方向に考えが進んだ。

(No.269-2へ続く)

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[No.268-2]笑われ者

No.268-2

「せやった!」

忘れる程度の話だった・・・というオチは無いようにして欲しい。

「あのな・・・」

奈音(なお)がバーゲンの話の続きを始めた。

「みんなが笑うねん」
「笑う?」

笑われたから、怒った・・・ということだろうか?
理由を聞かないわけには行かない。

「どうして笑われたの?」
「この格好やから」

話の出だしを思い出した。

(そう言えば今の姿がどうのこうの・・・)

「まさか、バーゲン品の買い過ぎ・・・だから?」
「そう見たい」

バーゲンだから特に沢山買うことはあるはずだ。
それで、笑われたらたまらない。

「そこまで気合入れて買わんでもええやん!ということやろ?」
「そうなのかな・・・」

確かに両肩・・・両脇に沢山の紙袋を抱えている。
見ようにより、“必死さ”が笑いの対象になっているとも言える。

「それにしても沢山、買ったね」
「さっきのミニとか好きやろ?」

確かにミニスカートは奈音に良く似合うから好きだ。

「でも・・・男の視線を浴びるのは嫌だな」

今度は違う意味で、ニヤニヤ笑われるからだ。
No268
(No.268完)

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[No.268-1]笑われ者

No.268-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-------------------------------
「頭くるわ、ホンマに!」

珍しく奈音(なお)が怒っている。

(怒った顔も可愛い・・・じゃなくて!)

「ど、どうしたの?」

待ち合わせでイキナリの剣幕だ。

(もしかして原因は・・・僕!?)

口には出さなかったものの、思わず自分で自分を指差した。

「違う、違う!」

聞けば、今の奈音の姿が原因しているらしい。
確かに・・・。

「それにしても・・・すごい荷物だね」
「うん、バーゲンしてたから」

お店の名前らしきものが書かれた紙袋を抱えている。
それも、ひとつやふたつではない。
僕には全く分からない店の名前ばかりだ。

「女の子には人気やねん!」

そう言うと、紙袋の中を見せてきた。

「わぁ!みじかっ!」

穿かなくても、それがかなり短めのスカートだと分かる。

「そんなに驚かんでもええやん」

どことなく、嬉しそうな言葉に“してやられた”と感じた。
ただ、話が反れつつある。

「あの・・・怒ってたんじゃない?」

(No.268-2へ続く)

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ホタル通信 No.073

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.191 彼女の友達   
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

話の本筋はかなり事実に近いのですが、凝った内容に作り変えた弊害が所々に出ています。原文には修正を加えていませんので、その不完全さもお楽しみください。

高校の時、女友達の紹介で、ひとりの女の子(Aさん)と付き合うことになりました。
・・・で、間の話は省略しますが、Aさんの友達であるBさんから告白され、いわゆる二股がここから始まりました。

さて、小説上の最初の弊害です。

小説冒頭の“もてた、自慢”の言葉は僕とさとみ(相手)の間で既に“二股の話”をしていることを間接的に表現しています。
ところが二股になる最初の原因・・・つまり紹介された女の子との出逢いまでさかのぼり、回想として盛り込んでしまったため、次のセリフが唐突に登場した感が残ります。
「良く言えば二股できるほど、もてたってことよね?」

次の弊害なのですが、小説上の“僕”以外に女の子が4人登場していますが、誰がどんな立ち位置なのか、分かりにくくなっています。
整理すれば、まず僕と会話している、さとみで1人目。次に中学時代の女友達で2人目。そして、二股の2人の計4人です。
結果的に、二股の2人に振られたけれど、実は女友達のことがずっと好きだった・・・というオチです。オチの部分は創作で、二股のどちらにも振られてしまった・・・という所までが実話です。

最後に小説にも度々出てきた“流行歌”・・・分かりますか?
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[No.267-2]ゆれて湘南

No.267-2

「自分で言ってたんだ・・・似ていると」

でも、その時は誰だかすぐには分からなかった。
僕とは年代が違い過ぎるアイドルだ。

「その頃は、特に調べもしなかった」

それでも、意識すればチョクチョク名前が耳に入ってきた。

「その彼女とは?」
「色々あってね・・・」
「是非、その色々を聞きたいわね!」

冗談半分、本気半分・・・と言った表情をしている。

「話の流れが変わってきてないか?」
「・・・そうかなぁ~?」

今更、こんな話をしたのには理由があった。
そのアイドルの“現在”の方が若い時よりも彼女に似ている。

「ちょっと違うわね」
「違う?」
「重ねたのよ、彼女が同じような年齢になった時と」

最初は言っている意味が分からなかった。

「・・・で、顔を見たら次は声を聞きたくなるわよね?」

勝手に話を進めて行く。

「電話番号なんて、もう知らないよ!」
「iPod出してよ」
「えっ!」

これだから女性は・・・何事にも鋭い。

「そのアイドルの歌、ダウンロードしたでしょ?」
No267_2
(No.267完)

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[No.267-1]ゆれて湘南

No.267-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-------------------------------
最近、あるTVコマーシャルを見た。
それが、始まりだったように思う。

「名前は知ってるけど・・・」
「僕も始めはそんな程度だったよ」

その女性は、80年代を彩ったアイドルの一人だ。
いわゆる花の82年組アイドルだったらしい。

「・・・の割には詳しくない?」
「知らなかったから、逆に調べたんだよ」
「・・・」
「何だよ・・・」

無言でも言いたいことが顔に書いてある。

「どんな人か知りたかったんだよ、だから・・・」
「そう、ムキにならなくてもいいわよ」

愛美(まなみ)よりも倍近い年齢差がある。
それでも、ヤキモチを焼くとでも言うのであろうか?
これだから女性は・・・難しい。

「年齢のこと、考えていたでしょ?」

僕の考えていることは見透かされていたようだ。

「ねぇ、それより何で今更?」
「実は・・・」

そのアイドルを見て改めて思った。
以前、好きだった人に似ている・・・と。

「元カノ?」
「そうじゃないけど・・・」

一言では言えない関係だったのは事実だ。

(No.267-2へ続く)

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[No.266-2]思い出すもの

No.266-2

メールから2日後、僕に社内便が届いた。
差出人は・・・彼女だった。
明らかに不自然な厚みが目立つ。

(何だろう・・・?)

当然、仕事関係の何か・・・を想像した。
でも、思い当たるものはない。
ある意味、恐る恐る封を切った。

「・・・北海道・・・限定・・・」

中には北海道限定のお菓子が入っていた。

「なんで・・・?」
「・・・んっ、あれ?」

お菓子と共に、小さな便箋が入っていた。
それには、こう書かれていた。

『これでも食べて、北海道のことを思い出してください』

(これって、2日前の返事?)

具体的な“かたち”で返事が届いたことに驚いた。
もちろん、彼女なりの方法で・・・だ。

(でも、ちょっと違うんだよなぁ)

真っ先に思い出すのは北海道より彼女のことになりそうだ。

(No.266完)

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[No.266-1]思い出すもの

No.266-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-------------------------------
『連休は帰ってくるんですか?』

GWを目前に仲の良い同僚からメールが届いた。
彼女とは以前の勤務地からの付き合いだ。

『残念ながらGWは帰省しません』

別に嘘は付いていない。
ただ、ある期待を含めて言葉を選んだつもりだ。

『別に残念じゃないけど?』

そんな返事を期待していた。

「・・・まぁ、いつも通りだよな」

返事は来なかった。
今に始まったわけでもないから、気にはしていない。
大概、メールのやり取りは、2回で終了する。

「それにしても・・・」

メールの内容の方が気になる。
帰省を期待していたように思えるからだ。
だからこそ、僕の返事に落胆したのかも・・・。

(良く考えすぎだな・・・)

この時は単なる社交辞令だと思っていた。

(No.266-2へ続く)

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ホタル通信 No.072

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.24 一人だけの入学式   
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

この話にはひとつ大きな謎があります。読んで頂ければ分かりますが、夜の学校・・・そして涙の理由です。

何度か触れたたことがありますが、冬のホタルは「影や陰」の要素を持った小説も少なくはありません。それらに向き合うことを教えてくれたのが、この小説だったかもしれません。

美紀が夜の学校に行ったのは願いが叶わなかったものの、何かしらの想いが残る場所で、死を選択するためでした。
冒頭の会話部分は、実際にはメールで数回のやり取りがあり、今でも当時の緊迫感を覚えています
冒頭の2行でその音大に向かい、3行目の会話では、なんとか思い留まってくれたシーンから物語が展開していきます。
正確に言えば音大近くの“ある駅”に彼女を迎えに行きました。

前半はほぼ100%実話であり、逆に後半は10%程度です。

肝心な部分を隠していたため、読み手に重いムードは伝わっていないと思います。
ただ、自分の中では、それだけ重いテーマだということの認識を持っているため、後半は意識的に“希望”へと続く話を作ってみました
No072
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[No.265-2]菜の花

No.265-2

「今思えば、意味も無く摘んだことに罪悪感を感じるわね」
「大袈裟だけど・・・そうかもしれない」

いずれ花は枯れる。
けど、それを早めてしまった事実は残る。

「なんとなく、しんみりしちゃうわね」
「今度は、ちゃんと食べようね」
「しつこい!」

笑顔で友人を怒った。
でも、騒ぎながら歩く土手沿いの道がなぜか無性に楽しい。
春の陽気のせいか、それとも私たちの陽気のせいだろうか。

「食べる話しをするからお腹が空いてきたじゃない!」
「話をしなくても・・・でしょ?」

気付けば陽も大分、傾いている。

「軽く飲みに行かない?」
「珍しいわね」

何となく、今日は一杯行きたい気分だった。
しゃべり過ぎて喉が渇いたこともあるのだろうか。

「軽くと言わずに・・・行きますかぁ!」

居酒屋に到着した後も菜の花の話題は続いた。

「そもそも何で食べたとか、の話になったんだっけ?」
「さぁ・・・覚えてない」

・・・と言うより、思い出すのことが面倒に感じた。

「それより、食べるわよ!」

まずは目の前のお通しに口を付ける。

「美味しい!これ何のお浸しなのかな?」
No265
(No.265完)

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[No.265-1]菜の花

No.265-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-------------------------------
「・・・で、食べたの?」
「ううん、食べてはいない」

どう処分したか正直、覚えていない。
ただ、食べてないことは確かだ。

「じゃあ、捨てちゃったんだ?」
「・・・そうなるわね」

GW中、友人と久しぶりに遊ぶ約束をした。
昼間からカラオケ三昧・・・のはずだった。
それが、成り行きで土手沿いの道を歩くことになった。

「別に食べなくてもいいじゃない?」
「そうだけど・・・なら、どうして摘んだの?」

答えを知りながら質問しているように感じる。

「子供の頃って、そんなものでしょ?」

確かにそうなんだ。
どうするわけでもなく、草花を摘む。
その行動に、特別な意味はない。

「同じように、“つくし”も摘んでたよ」

どちらも身近な春の草花だ。

「“つくし”は食・・・」
「だから、食べてないってぇ」
「ジョークよ、ジョーク」

毎年、どこかで見ているはずの菜の花たち。
それがかえって当たり前過ぎて、話題にすることがない。

「・・・改めて見ると、綺麗ね」
「でしょう?」

陽の光を存分に浴びた菜の花たち。
鮮やかな黄色が目に痛いほど輝いている。

(No.265-2へ続く)

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[No.264-2]食いしん坊

No.264-2

「せいじゅうろうが一本食べたあと、うちも食べた」

写メがなんとなく、それを物語っている。
かなり、想像を飛躍させないと行けないが・・・。

「確かに・・・食べ終えた串が2本写ってるな」
No264
話のつじつまは合っている。

「美味しかった?」
「うん!せいじゅうろうも、そう申しておりました!」

他人からすれば馬鹿馬鹿しい話をかなり本気で話す。
それに俺も本気で付き合う。

「それにしても夜にだんごは・・・なくない?」
「せやかて、せいじゅうろうが好きなんやもん」

まぁ・・・好き嫌いに関係なく色は似ている。
どちらも、だんご色だ。

「じゃ・・・最後の1本はせいじゅうろうが食べたの?」

写メには、もう1本写っているからだ。

「ううん、違うよ」
「じゃあ、菜緒?」
「ううん、うちでもない」

そう言い終えると、かばんの中をゴソゴソし始めた。

「えっ!まさか・・・」

予想に反して、だんご屋の割引券が出てきた。

「キイロイトリに食べられてしもうたんや、だからお詫びに」

一見奇妙な会話もふたりなら、ごく自然に成立する。

(No.264完)

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[No.264-1]食いしん坊

No.264-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-------------------------------
「昨日の夜?」
「うん、昨日のメニュー・・・」

(なんだろう・・・記憶を試されている?)

確かに何を食べたのか思い出せない時もあるが・・・。

「間違いなく、コンビニの弁当」
「・・・」
「・・・なんだよ」

独身だし、恋人も居ないんだから、ある意味当然だ。

「幕の内だから、栄養バラ・・・」
「うちのメニューも聞いてくれる?」

うちのも・・・じゃないだろう。
最初から自分のメニューだけを聞いて欲しかったようだ。

「あぁ・・・で、なに食べたの?」
「牛乳とだんご!」
「・・・」
「・・・なんやねん」

これを言いたいがためのネタ振りだったようだ・・・俺は。
ただ、牛乳とダンゴ。
これをどう捉えたら良いのか迷う。

(待てよ・・・)

このパターンはいわゆるアレ・・・だ。

「それって、せいじゅうろうのメニューだろ?」
「当ったり~!」
「そ、そうなの!?」

結論が早く出過ぎて、何だか微妙な気持ちになった。

(No.264-2へ続く)

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ホタル通信 No.071

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.16 空   
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

この話は、当時抱えていた複数の想いを“空と遠距離恋愛”に置き換えて表現しています。

設定上の実話度は、ほぼゼロですが、含まれている心情に真実が多く散りばめられています。
設定とは逆で、札幌から大阪へ旅立った私。ただし、小説のように遠距離恋愛ウンヌンではなく、単に仕事の都合です。
その時の心情を遠距離恋愛に置き換えてみました。
彼と別れる寂しさと辛さは、住み慣れた土地を離れると言うことに他なりません

そんな時、見慣れたはずの空に、何か感じるものがありました。

“空”をテーマにした小説は他にも作っていますが、その原点となる作品です。
どんなに離れいても同じ空の下に住んでいる安心感・・・それが物理的な距離さえも縮めてくれるような気がしています。その安心感を次の言葉に集約してみました。

「あの角を曲がれば、そこにあなたの住む街がある気がする」

いまでも望郷や遠くの人を想う時、そんな心境になることがあります
これからの季節、一段と空が綺麗に青く輝く季節になりました。今年はまたどんな小説を運んでくれるのか、楽しみです。
No071
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[No.263-2]ナオちゃんタクちゃん

No.263-2

(時は・・・常に流れてるのね)

高校生だった頃とは随分、印象が違う。
見た目じゃなくて、タバコという具体的なものを見たからだ。
それだけでも大人びて見える。

それは私もきっと同じなんだろう・・・。

「染めたんだ・・・髪?」
「特に意味はないんだけどね」

卒業を期に・・・という気は本当になかった。

「僕はあった」
「理由を聞いてもいい?」
「大人っぽく見せたかった・・・ただそれだけ」

そう言われると、なんだか自分もそのような気がしてきた。

「私もそうなのかなぁ?」

急に昔の自分たちの姿が脳裏をよぎる。

「変わらない方が、逆におかしいのかもしれないね」
「・・・かもな」

それからは穏やかな時間が過ぎて行った。

「じゃあ、ナオちゃんも仕事頑張れよ」
「うん、タクちゃんも・・・あれ?」

お互い顔を見合わせる。
大人ぶっても、変わらないものだってあることに今気付いた。No263
(No.263完)

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[No.263-1]ナオちゃんタクちゃん

No.263-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-------------------------------
「そっちこそ!」
「私の自由でしょ!」

お互い大声を張り上げた瞬間、冷静に戻った。
周りの客達の視線が突き刺さったからだ。

「・・・まぁ、卒業以来だから・・・な」
「うん、2年振りだね」

実家の隣に住む幼なじみが居る。
同じ高校にも通っていたが、卒業を期に疎遠になった。
心情的なものではなく、物理的な距離のためだった。

「仕事は順調?」
「まぁ・・・な」

GWを利用して、彼が帰省してきた。
卒業してから初めてのことだった。

「それより、なんだよ・・・その髪の色?」

さっきより、トーンも口調も柔らかくなっていた。

「・・・見ての通りよ、あなただって・・・」

目の前でプカプカとタバコを美味しそうにふかしている。

「いいだろ?吸っていい歳なんだから」

お互い相手にケチを付けている。
でも、彼が一言言いたい気持ちも理解できる。
きっと、私と同じ理由だと思うからだ。

(No.263-2へ続く)

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[No.262-2]解けた氷

No.262-2

彼女がそうなったのは歴代の上司に問題があった。
問題と言っても、具体的に何かをしたわけではない。
もしろ、その逆だった。

「任されるのと、押し付けられるのは違う」

面倒な仕事は彼女に押し付ける。
・・・で、その成果はもちろん上司のものだ。

「組織だからそれが当たり前だけど、でも・・・」
「信頼関係だろ?」

優実(ゆうみ)が小さくうなづいた。
それに気付いてからは、彼女の仕事を理解しようと努めた。
同じ目線に立ち、時には指摘することもあった。

「誉められるより、嬉しかったのよ」

それから、彼女は変わった。

「辛かったろ?」
「・・・まあね」

さりげない返事が逆に重みを感じる。

「今はどんな風に見える?」

改めて言われると緊張する。
その笑顔が眩しすぎるからだ。

(No.262完)

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[No.262-1]解けた氷

No.262-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-------------------------------
最初の印象は、良くなかった。

「これは、こうして頂かないと」

言葉は丁寧でも、いわゆる事務的な感じがある。
それよりも印象を悪くしている理由は他にあった。

信頼されてない・・・そんな態度が見え隠れしていた。

「いきなり、カミングアウトしたわね」

優実(ゆうみ)と昔話に花が咲いた。
それも、彼女と出逢った頃の話までさかのぼった。

「そんな風に見えたの?」

彼女が居た部署に僕が異動した。
そして、僕の部下になった。

「見えたと言うより、実際そうだっただろ?」
「まぁ、否定はしないけど」

最初は単に“そんな奴”だと思った。
新参者の上司に対する“歓迎”だとも考えた。

「でもな・・・何か理由があると思ったんだ」
「良く分かったわね」

大袈裟だけど、瞳の奥に何か訴えるものを感じていた。

(No.262-2へ続く)

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