[No.261-1]最高の誉め言葉
No.261-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(男性)
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「私もそんなタイプ!」
飲み会の席で、仕事談義に花が咲くことがある。
本来は最も敬遠しなければならない話題だ。
「・・・そうだっけ?」
そんな風には見えない、と言った顔だ。
「もう、何年になるのよ・・・私たち」
この瞬間だけを捉えれば、恋人同士の会話にも聞こえる。
「・・・5年か・・・な?」
新設された部署に私達は配属された。
彼とは歳が同じゆえ、しばらく仕事の衝突が続いた。
「覚えてるか、あの時?」
「言わないの!」
派手な喧嘩も今となっては、お互いの糧となっている。
「寂しくなるな・・・」
「・・・うん」
自分でも分かるほど、しおらしい返事だった。
「また、どこかの部署で一緒に仕事したいな」
4月の定期異動で彼の転勤が決まった。
もちろん、彼女でも何でもない私は見送るだけの存在だ。
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