[No.260-2]眼鏡の理由
No.260-2
「今日も・・・忘れた・・・の?」
友人が解せない顔をしている。
「うっかり・・・」
「でも、今日で4回目よ?」
目が悪い人にとっては、コンタクトは重要な存在だ。
だから“うっかりはないんじゃない?”そんな顔をしている。
「わざと・・・?」
眼鏡は確かに“わざ”と掛けている・・・必要だから。
でも、“わざ”とコンタクトを忘れたわけではない。
そもそも、コンタクトは嘘なのだから。
「・・・理由がありそうね」
思案していたことが、よほど顔に出たらしい。
直球を投げ込まれた。
「えっ!あっ!う、うん・・・」
この返事だけで、今までの話が嘘だということがわかっただろう。
「で、理由はなにさ?」
「偶然に・・・出逢わないかな?って・・・探してるの・・・」
この辺りは、元カレがよく来ていた場所だった。
「眼鏡がないと見つけられないから」
(No.260完)
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