[No.259-2]彼女の人生
No.259-2
「卑怯な手?」
自分でも分かるほど態度を一変させた。
どうにでもなれ・・・投げやりな態度で接することが多くなった。
僕が去るんじゃない・・・君が去れ・・・と。
「ひどい話だろ?」
「そうね・・・」
彼女から別れ話を切り出すことを望んだ。
そして、それは現実となった。
「後悔・・・してるのね?」
してないと言えば嘘になる。
けど、それでも良かったとも思っている。
「彼女の人生に触れたかっただけなのかな・・・」
改めて声に出して、自分に問い掛けた。
もちろん、多華子(たかこ)にも聞こえるように。
「違うんじゃない?」
「本当は彼女の人生までも変えようと思ったはずよ」
それには答えられなかった。
それが、逆に事実だったからだ。
「灯りになれなくても・・・暗闇のままでも、いいじゃない!」
そう言うと多華子が、そっと僕の手を握る。
「これなら暗闇だって前に進める、例え灯りがなくても」
(No.259完)
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