[No.259-1]彼女の人生
No.259-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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「・・・結局、僕は逃げたんだ」
事実であっても、どこかで慰めて欲しい気持ちもあった。
「話したら?」
きっかけは、多華子(たかこ)の一言だった。
サバサバした性格の彼女は、元カノの話をしても寛大だった。
見せかけだけじゃなくて。
「・・・灯りになりたかったんだ」
「あかり?」
色々と問題を抱えていた彼女と知り合った。
深くかかわるうちに、それを解決してやろうと思った。
それが、いつの間にか愛情に変わった。
「そう・・・行き先を照らす灯りに・・・」
彼女の問題はかなり深刻だった。
“それであっても”という気持ちに当時、嘘はなかった。
「あなたらしいわね」
「でもな・・・」
「“僕じゃだめ”だと・・・?」
いつしか、非力な自分がいることに気付き始めた。
「あぁ・・・そう思うようになった」
「元々、あなたには関係がないことばかりでしょ?」
「でも・・・結局、僕は逃げたんだ」
実際は、もっと卑怯な手を使った。
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