[No.258-1]続・ハズレの景品
No.258-1 ハズレの景品
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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引越しすることにした。
理由は特にない・・・ただ、そんな心境だった。
「・・・いつなの?」
「来週」
「えっ!」
引越しと言えるほど大袈裟なものではない。
数百メートル先に良い物件を見つけた。
「もぉ・・・びっくりしたじゃない」
「どこか遠くに行くなら事前に言うよ」
咲(さき)とは英会話スク-ルで知り合った。
お互い勤め先は違う。
「転勤かと思ったよ」
「・・・想い出を・・・断ち切るため?」
「・・・ううん、元彼のことは関係ない」
最近、彼と別れた。
確かにそれが引き金になったことは否定しない。
けど、それを部屋ごと消し去ろうとは考えていない。
「お互い納得して別れたから」
「ふ~ん」
そんなことどうでもいい・・・そんな表情だ。
多分、私も他人のことならそうなる。
男女の別れに“納得”という言葉は綺麗すぎるからだ。
「まぁ・・・ひとり寂しく引越し、ということね」
「・・・咲、来てくれないの?」
「いいけど、ランチぐらいは考えてよね」
引越し当日はあっと言う間にやってきた。
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