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[No.257-2]差し延べる手

No.257-2

「馴染んでないんだ・・・まだ」
「そうだと思うな」

元気がないと言うより、行動がどこかよそ行きだ。
彼女なりに気を遣っている・・・そんな風にも見える。

「そこまでよく観察してるわね」
「だって・・・私もそうだったから」

小学生の時に転校を経験した。
その時の私とよく似ている。

「でね・・そしたら、ひとりの女の子が戻ってきたの」

遠くからでも“一緒に行こ!”と言ってるのが分かる。
言葉は聞こえなくても、行動がそれを物語っている。

「彼女・・・嬉しかったと思うよ」

不安を抱えた毎日・・・だった。

「なんか、自分の話に摩り替わってるみたいよ」
「そ、そうね・・・気持ちが入りすぎちゃって」

そうなんだ・・・彼女は私自身でもある。

「きっと、一生の友達になれると思うな」
「そんなもんなのかな~?」

小学生だったかつての私に美月が手を差し延べてくれたように。

(No.257完)

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