[No.257-1]差し延べる手
No.257-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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差し延べられるもの・・・それは行動でも言葉でもいい。
美月(みずき)に今朝の出来事を話した。
いつも見ている光景が、今日は少し違ったからだ。
毎朝、小学生の集団に出逢う。
彼らは信号が変わると同時に、学校に向かって走り出す。
いつもと変わらず・・・。
「でもね、ひとりだけ歩いていた女の子がいたの」
「他の子は走っていたのに・・・ということね?」
いつもならひとり残らず、私の目の前を走り去る。
それだから、余計に残された女の子が目立った。
それに、スク-ル帽の色がやや違う。
「見慣れない顔?」
「顔までは覚えてないけど・・・」
何となく、違和感を感じた。
「違和感?」
「うん、輪に入れていないというか・・・」
「イジメ?」
「・・・そうじゃない」
そう・・・イジメとかじゃない・・・そう言い切れる。
なぜなら、その違和感を経験したことがあるからだ。
「多分、転校生・・・だと思う」
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