[No.252-2]ひざのぬくもり
No.252-2
「それにしても気持ち良さそうね」
股座の猫は、お構い無しに気持ちよく寝ている。
気のせいか、寝息さえ聞こえてくる。
「よっぽど気に入ったんじゃない?」
「おいおい・・・」
でも、この体勢を崩すことを“申し訳ない”と感じ始めた。
それだけ、気持ちよさそうな寝顔をしている。
「・・・もう少しだけ寝かせてやるか」
「そうしてあげて」
猫の体温・・・温もりが伝わってくる。
それに“ポワン”とした何とも言えない心地よい匂いも・・・。
「・・・やっぱり、どいてもらう」
「大丈夫だよ、迷惑じゃないから」
別に、ひっかかれる訳でもなく、単に寝ているだけだ。
「だめ!どいてもらう!」
眞理子(まりこ)の口調がいつになく強い。
・・・と同時に、猫を抱きかかえ、ソファーへ移動させた。
「どうしたんだよ?」
「余りにも気持ちよさそうだったから」
“だったらなぜ?”と言いたくもなる。
「今度は・・・私の番なの」
(No.252完)
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