[No.250-2]寂しげな雪だるま
No.250-2
「その彼とは?」
「雪だるまと同じように、春になったら溶けちゃったみたい」
はっきり、“別れた”と言っても何も問題はない。
それなのに、何となく綺麗にまとめてしまった。
「そうなることを予感してたのかな」
「どうして?」
「その雪だるま・・・どこか寂しげに見えたの」
私の心境がそう見させたのかどうかは分からない。
その時は、そう感じた。
「あの雪だるまと同じ」
さっきみつけた雪だるまも、どこか寂しげに見える。
理由は昔も今も分からない。
「・・・私は分かるわよ」
そう言うと、その雪だるまの所に走り出した。
「ちょ・・・ちょっと!・・・何するの?」
「まぁ、見てて!」
数分後には、その雪だるまの隣にもう一体雪だるまが並んだ。
「これなら、どうよ!」
「あの時は雪が少なかったからよ」
本来、並ぶべき雪だるまがあったはずだ。
仕方ない・・・そう結論付けるとしよう。
(No.250完)
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