[No.250-1]寂しげな雪だるま
No.250-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「どうしたの?ボケッとして・・・」
「・・・うん・・・ほら、あれ見て」
昨日から降り出した雪も朝にはすっかり止んでいた。
何年振りかのまとまった雪ともなると・・・。
「あっ、かわいぃ!」
辺りを見渡せば予想通り、いくつか雪だるまが立っている。
どれも子供たちが作ったのだろう。
思い思いの姿は、大人じゃそうはいかない。
「雪が降ると、どうしても作っちゃうよね!」
「・・・どうしたの、浮かない顔よ?」
友人のはしゃぎっぷりに、どう反応して良いか迷っていた。
さっき見つけた小さな雪だるま・・・。
昔、彼が作ってくれたのを思い出した。
「・・・そうなんだ」
「つらい思い出?」
「う、うん・・・そんなんじゃないけど」
当時付き合っていた彼が旅先の北海道からメールをくれた。
偶然にも初雪に遭遇したようだった。
でも、雪は気持ち程度しか振らなかったらしい。
写メで送られてきた雪だるまがそれを物語っていた。
「必死でかき集めたんじゃないかな」
決して純白・・・とは言いがたいものだった。
けど、その気持ちが嬉しかった。
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