[No.249-2]汽笛
No.249-2
「ある場所?駅の近くなら、どこでも聞こえそうだけど」
「そうだけど・・・」
駅の近くではなくても、聞こえると言えば聞こえる。
「その時の姿勢というか・・・」
「姿勢?」
多分、あることを考えているだろう。
私がどんなアクロバティックな姿勢で汽笛を聞いているかを。
「それじゃないわよ」
「ん?違うの?」
「どうせ、とんでもないこと考えてたんでしょ!」
どうやら図星のようだった。
「姿勢って言うから・・・」
「まぁ・・・言い方も良くなかったけど」
とにかく、汽笛を聞いた。
ある場所、ある姿勢で・・・。
「話からすれば・・・寮・・・で?」
「そう、場所は合ってる」
会社の独身寮は駅のすぐそばにある。
そして、私は汽笛を聞いた。
布団に包まりながら・・・。
「・・・なんとなく分かる気がする・・・」
あの汽笛は、私にとって不安や寂しさの象徴だった。
「私はね・・・トイレだったんだ」
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