[No.248-2]未来日記
No.248-2
「未来日記は嫌い?」
「ううん、そうじゃなくてユニークだと思ってる」
一般的には、現実に起きたことの方が記事にしやすい。
それが“起こる前”だと、想像力も必要になる。
それにウソの記事になってしまうこともあるだろう。
「でも、すごいでしょ?」
「なにが?」
「的中率!」
予測可能とは言え、書いたことがそのまま現実になっている。
並みの預言者も真っ青の的中率だ。
「100%・・・と言っても過言じゃないだろうな」
「でしょ!」
「今日のデートも・・・ほら未来日記通りじゃない!」
麻衣(まい)の声のト-ンが一段上がる。
待ち合わせ場所、ランチの店、そして頼んだメニュー・・・・。
全て未来日記に書かれていたことだ。
麻衣だけでなく、僕の言動も・・・。
「映画、何見る?」
「そうだなぁ・・・ほら・・・話題のアクション映画なんてどう?」
「それも書いてあった通りぃ!」
それからも日記通りの展開が続いた。
日記によれば、そろそろデートが終了する。
そして、次の言葉で締めくくられていた。
『彼がプロポーズしてくれる』
「ねぇ、この場所・・・」
「あぁ、日記上、プロポーズされる場所だろ?」
そう・・・僕は未来日記の彼、そのものだ。
だから、その通りに行動すれば100%的中するのは当たり前だ。
「結婚して欲しい」
僕は麻衣にプロポーズした・・・指輪を渡すと共に。
その時、初めて未来日記がハズれた。
(No.248完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(010)小説No.226~250」カテゴリの記事
- [No.250-2]寂しげな雪だるま(2011.03.19)
- [No.250-1]寂しげな雪だるま(2011.03.18)
- [No.249-2]汽笛(2011.03.15)
- [No.249-1]汽笛(2011.03.13)
- [No.248-2]未来日記(2011.03.12)
コメント