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[No.246-1]大人な私

No.246-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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彼女は多分、気づいていない。
“自分の方”が、そうだと言うことを・・・。

「普通、そうやろ?」

奈海(なみ)が怪訝そうな顔をする。

「・・・そうだな」

同意の返事ではなく、否定できなかったのが本音だ。

「“ありがとう”とか言うやん!」

奈海がいうことも分からなくもない。
感謝されることを目的としてなくても、礼儀は必要だ。
一言、ありがとうで済む。

「言いそびれたとか、照れもあるんじゃない?」
「せやかて、常識やろ?」

訳があり、奈海は高校生の時にひとり暮らしを始めた。

その経験が彼女を大人にした。
礼儀とかに拘る理由は、そんな所にあるのだろう。

ただ、それがクラスで孤立する原因のひとつでもあった。

「とにかく、そんな人、嫌いやねん!」
「まぁ、そんな人も居るって・・・あまり気にするなよ」

社会人とは言え、二十歳そこそこには難しいのも現実だ。
まだまだ学生気分が抜けきっていないだろうし・・・。

「でも、もう子供とちがうやろ?」

ある意味、一番返事に困る問い掛けだった。

(No.246-2へ続く)

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