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[No.245-1]四次元の世界

No.245-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「なぁ、四次元の世界って信じる?」
「なによ、急に・・・」

小学生の時、あるテレビ番組をよく見ていた。
UFOや怪奇現象などの不思議現象を取り上げた番組だ。

「その番組は知らないけど・・・それがなに?」
「たまに四次元の世界の特集があるんだ」

今風に言えば“パラレルワールド”だろうか。
四次元と表現するだけで、なんとなく昭和の匂いがする。

「それで、トンネルとかに入って出たら・・・」

何らかの理由で四次元の世界に通じてしまう。
ただ、あくまでも番組上、そうなっていただけに過ぎない。
トンネルもそうなるきっかけのひとつだと・・・。

「初めて聞く話だけど、分からなくもないわね」
「だろ?」

トンネルを抜けると、そこは四次元の世界だった・・・。
有名な小説のワンフレーズのようでもある。
トンネルはある意味、そんな雰囲気を持っている。

「ねぇ、そもそも四次元の世界って?」
「僕もテレビの受け売りだけど・・・」

四次元とは言っても、今存在している世界と全く変わらない。
違うのは、四次元の世界に“僕”が存在しないことだ。

「だから、親も友達も“あなた誰?”ってなるんだ」
「パニくるわね・・・そうなると」

遠くに小さく明かりが見える。
トンネルを抜けるにはまだ時間が掛かりそうだった。

(No.245-2へ続く)

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