[No.242-2]自分のことより
No.242-2
「お待たせ!」
僕の心配をよそに、すぐに次の日曜日がやってきた。
「連れてきたかい?」
それには答えず、カバンの中から彼らを取り出した。
どうやら、それが答えの代わりらしい。
「・・・雰囲気違わない?」
「そりゃ、温泉に行くんやもん」
せいじゅうろうは、見たことがある風呂敷を担いでいる。
コリラックマは、何やらオシャレな耳飾りが印象的だ。
・・・で、キイロイトリ・・・。
「それって・・・」
「どう見ても、温泉風やろ?」
温泉風をどう定義付けるかは別にしても、確かにそんな風に見える。
頭の上に乗っているものが、それだとすれば・・・の話だ。
「タオル・・・それ?」
「当りぃ~!」
ベタだけど、それなりに雰囲気が出ている。
それに、手作りらしい苦労の跡も見える。
「そっか・・・じゃ、出発しよう!」
しばらくして、温泉に到着した時、あることに気付いた。
確かに、彼らの準備は万全だった。
ただ、菜緒自体の準備はイマイチだった。
(No.242完)
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