[No.241-2]糸
No.241-2
「こんなのもあるわよ」
意外と友人が話に乗ってくる。
「糸が切れた凧」
(糸が切れた途端・・・・でも・・・)
「それって・・・悪い意味かな?それとも良い意味?」
「悪いほうじゃないの?」
糸が切れてしまった凧の行く末はイメージ通りだと思う。
風に流され、いずれ人知れずどこかに落ちてしまう。
「でも、自由になれたと考える人もいるんじゃない?」
一見、優雅に泳いでいるけど、自由が効かない。
右へ左へ、高く低く・・・誰かにコントロールされているとも言える。
「だから糸の切れた凧は自由になれたと?」
「そりゃ、末路は悲惨かもしれないけど・・・」
「でも・・・必ず、そうなるとも言えない・・・か」
哲学者がもうひとり増えた格好になった。
「・・・なによ?ニヤニヤしちゃって」
私たちの関係を糸で言うなら・・・。
「ねぇ、私たちを糸で表すなら“切っても切れない糸”ってどう?」
正直、今まで何度か切れかけたことはあった。
でも、切れたことはなかった。
その見えない糸を、人は友情というのだろうか。
(No.241完)
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