[No.238-2]なんだよ・・・。
No.238-2
「そんなの、考えすぎ。疑心暗鬼よ」
(そうなのかなぁ・・・)
「以前、花見に誘われたことがあっただろ?」
誘われてはいたものの、体調不良で行けなくなった。
「そんなの仕方ないじゃん!」
「結果的に、雨が降らなくて済んだとも言える」
「あなたが参加しなかったから?」
それから何となく、屋外のイベントには参加しづらくなった。
「でも、誰も知らないわけでしょ?」
確かに僕が雨男だとすれば、そのことは知らない。
もちろん、積極的に言うはずもない。
「まぁ、今、一人にバレたけどな」
なぜ、彼女にだけ話したのか、自分でも分からない。
偶然、会社を出る時に一緒になり、こうして駅まで歩いている。
「この調子なら記録更新はないかもな」
いつも建物から出た途端、雨が降って来た。
でも、今日はそれがない。
「良かったじゃん、雨男じゃなくて・・・」
「・・・なんだよ、ちっとも嬉しそうに見えないけど」
さっきまで心配していた彼女とは雰囲気が違う。
なんだか、ガッカリしたような・・・そんな感じにも見える。
「今日なら相合傘で帰れると思ったのに」
僕が雨男だということを、いつ知ったのだろう・・・。
(No.238完)
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