[No.233-1]360円の思い出
No.233-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「360円の思い出?」
子供の頃の話になった。
「それって、安っぽい話?」
「失礼ね!」
・・・とは言うものの、話の出だしが悪かった。
見方を変えればそうとも言えなくもない。
「当時、女の子向けの人形を売ってて」
有名どころの人形ではなかった。
それでも、そこそこの種類が発売されていた。
「あっ!それ、私も知ってる」
一年に2回ほど、デパートに連れられて行った。
今ほど気軽に行ける場所ではなかったことを覚えている。
「まぁ・・・そうよね」
「子供心に特別な場所だったわ」
そんな特別な場所であったから、その思い出も深い。
「その人形が360円だったんだ?」
「そうよ、でもそこから先が思い出だけどね」
「なんだろう・・・」
多分、誰も予想することはできないだろう。
人形そのものよりも、値段に秘密がある。
だから、360円の思い出なんだ。
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