« [No.232-2]空のつながり | トップページ | [No.233-2]360円の思い出 »

[No.233-1]360円の思い出

No.233-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-------------------------------
「360円の思い出?」

子供の頃の話になった。

「それって、安っぽい話?」
「失礼ね!」

・・・とは言うものの、話の出だしが悪かった。
見方を変えればそうとも言えなくもない。

「当時、女の子向けの人形を売ってて」

有名どころの人形ではなかった。
それでも、そこそこの種類が発売されていた。

「あっ!それ、私も知ってる」

一年に2回ほど、デパートに連れられて行った。
今ほど気軽に行ける場所ではなかったことを覚えている。

「まぁ・・・そうよね」
「子供心に特別な場所だったわ」

そんな特別な場所であったから、その思い出も深い。

「その人形が360円だったんだ?」
「そうよ、でもそこから先が思い出だけどね」
「なんだろう・・・」

多分、誰も予想することはできないだろう。
人形そのものよりも、値段に秘密がある。
だから、360円の思い出なんだ。

(No.233-2へ続く)

| |

« [No.232-2]空のつながり | トップページ | [No.233-2]360円の思い出 »

(010)小説No.226~250」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.233-1]360円の思い出:

« [No.232-2]空のつながり | トップページ | [No.233-2]360円の思い出 »