[No.230-1]多くても少なくても
No.230-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(男性)
-------------------------------
「・・・う、ううん・・・」
自分でも分かるくらい、気の無い返事をしている。
彼の話に興味がないからではない。
「なっ!佳代子(かよこ)も、そう思うだろ?」
「思う!思う!」
さっきとは正反対に、今度はノリノリで応えた。
(こうなったら、最後まで話を合わせるか・・・)
正直、何の話をしているのか、分かっていない。
話のきっかけを聞き逃したからだ。
でも、その原因は私にある・・・だから、聞き返せない。
「なんてゆうか、微妙なんだよな」
彼は彼で、曖昧な表現を繰り返す。
それもあって、なかなか話のテーマが見えない。
「そうね・・・微妙よね」
相手の言葉を繰り返していれば、多少、何とかなる。
けど、話の核心に迫られると問題だ。
何となく・・・その時期が近付いて来ているように感じる。
「やっぱり、バランスが大事だろうな」
「そ、そうね・・・それが健康の秘訣よね」
バランスという言葉を聞いて、食事・・・健康と連想した。
それで、つい口に出てしまった。
「健康・・・?」
(ま、まずい!)
「・・・面白い表現だな・・・でも、そうだよな」
全くのハズレではないらしい。
「確かに、多くてもダメ、少なくてもダメ、だよな!」
| 固定リンク | 0
「(010)小説No.226~250」カテゴリの記事
- [No.250-2]寂しげな雪だるま(2011.03.19)
- [No.250-1]寂しげな雪だるま(2011.03.18)
- [No.249-2]汽笛(2011.03.15)
- [No.249-1]汽笛(2011.03.13)
- [No.248-2]未来日記(2011.03.12)
コメント