[No.229-1]止まった時間
No.229-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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『カゼでもひいたの?』
昨日送ったメールを改めて確認してみた。
ここ数日、仲が良い同僚の女性の姿が見えない。
それに、まだ返事が来ていないからだ。
(相当、大変なんだろうか・・・)
カゼが流行っていることもあり、まずはそこからを話を切り出した。
本来は周りに聞けば済むことかもしれない。
ただ、正直聞きづらい面もある。
会社では他人のふりでも、プライベートでは仲が良いからだ。
『今、実家に居るの』
書き出しには、そう書かれてあった。
ようやく、彼女から返信のメールが届いた。
その瞬間、あることが頭をよぎる。
(めでたい席の話じゃ・・・なさそうだな・・・)
案の定、メールの続きには悲しい出来事が書かれてあった。
「落ち着いた?」
「うん・・・でも、まだ信じられない・・・突然だったから」
彼女の母親が亡くなった。
まさしく、言う通り、突然・・・だったようだ。
「だってね、夕食の仕度中のままなんだもん」
突然という言葉が、恐ろしいほどリアルに感じられた。
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