[No.227-1]いたずら
No.227-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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「なに、書き込んでるの?」
翔子(しょうこ)が、何かを書き始めた。
「ん?メッセージだよ」
これが便箋とか手帳とかの部類なら、そこそこ理解できる。
それが、なんで・・・。
「濡れてて書きにくいわ」
「そりゃ、そうだろ・・・」
小休止を兼ねて、翔子とカフェに入った。
お互いアイスティーを注文した後のできごとだった。
「でも、何とか書けたわ」
翔子がコースターの裏に何かを書き込んだ。
「書けたのはいいけど、コースターだろ?」
これ以上、その理由について掘り下げるつもりはない。
それより、何を書いたかが気になる。
「・・・で、メッセージって?」
翔子がコースターを僕に渡す。
「なんだよ・・・『電話してね』・・・って!?」
それに言葉に続いて電話番号が書いてある。
所々は伏せられてはいるが、見覚えのある番号だ。
「これ、僕の番号?」
「あっ・たぁ・り~!」
本気ではないことは承知しているつもりだ。
翔子は、たまにこんなイタズラをする。
けど、いつも未遂で終っている。
と言うより、わざとネタをばらしているようにも見える。
「あっ・たぁ・り~!って・・・まったく・・・」
僕のあきらめ顔は、余計に翔子を喜ばせるだけだった。
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