[No.226-2]振り返る
No.226-2
「そうだったわね・・・で?」
「懐かしい・・・」
「みなまで言うな!」
友人が話をさえぎる。
こんな調子だから、話が前に進まない。
目の前で必死に考え込んでいる。
「イケメンでもない・・・元彼でもない・・・う~ん・・・」
「クイズじゃないんだから、話させてくれない?」
だんだんと、ホットだった話が冷めていく感じだ。
話にはタイミングも重要だ。
「じゃ、どうぞぉ!」
真顔で構えられると、それはそれで困る。
(だから、タイミングが大切なの!)
「もぉ!話しづらいじゃない」
「わがままね!それなら、歩きながら話そうよ」
前半のセリフは無視するとして、後半は納得だ。
「さっき、誰かとすれ違った時、感じたの」
「なにを?」
すれ違いざまに、懐かしい匂いを感じた。
「それ、元彼の匂いでしょ!」
昔付き合っていた彼と同じ匂いがした。
ただ、どんな匂いなのか・・・表現することが難しい。
「難しい?そりゃそうよ、想い出の匂いだもん!」
(No.226完)
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