[No.222-2]微笑
No.222-2
「意外・・・誰だろう?」
ゆいは極端に、誰か一人に似ているわけではない。
それだからこそ、その系統の人、全てに似ていると感じる。
「ほら、ちょっとこうして、あぁして・・・」
ゆいがわざとそれらしい表情を作る。
「・・・あぁ!辻ちゃん!?」
「えっ!初めて言われた」
どうやら違うらしい。
「小雪よ・・・女優の」
何となくピンと来るものがない。
「う、ううん・・・かな?」
確かに似てないわけではない。
ゆいは、イマドキにしては珍しく、黒髪にストレートロングだ。
「不服そうね」
「い、いや、その・・・」
見透かされて、口ごもる。
「冗談よ、じょ・う・だ・ん!小雪もたまに似てるって言われるけど」
「私が額縁の中に居るって、想像してみて」
「額縁・・・?」
左手の親指と人差し指で、L型を作る。
さらに右手でも同じものを作り、四角い枠をかたちどる。
そして、テレビのディレクター風に、枠越しに彼女を見た。
「何が見える?」
「なるほど・・・世界で一番有名な微笑が見えたよ!」
(No.222完)
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