[No.221-2]同居
No.221-2
しばらくして今でも同居は上手く行っている・・・そう聞かされた。
「良かったな」
「うん、“習うより慣れよ”だね」
微妙に違う気もするが、それっぽくも聞こえる。
親子関係を“慣れる”と表現したのは、春(はる)だからこそだ。
「時の流れって、不思議ね」
当時、あれだけ衝突していたことが遠い過去に感じる・・・。
春がしんみりと、そう話し始めた。
「・・・どうした?」
「ううん・・・ちょっと後悔しただけ」
当時の自分を振り返っているような表情だ。
「過ぎたことだよ」
「許してくれるかなぁ・・・?」
「もちろんだよ」
誰が誰を許すのか、短い会話だけでは分からない。
彼女が彼女自身を許す・・・そんな風に聞こえなくもない。
「でもね、困ったことがあるの」
「多少は・・・やっぱり、あるんじゃない?」
「それが大問題なの!」
思わず、つばをゴクリと飲み込む。
(ここに来て・・・大問題って・・・・)
「門限が出来たから、あなたと遅くまで遊べないの」
(No.221完)
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