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[No.219-1]雲が赤い

No.219-1

登場人物
=牽引役(男性) =相手(女性)
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高速道路を運転中にあることに気付いた。

「ほら、アレ見て?」
「わぁー!大きなパン工場」

見覚えがあるパンメーカーの看板と巨大施設が目に入る。

「・・・じゃなくて!空だよ、そ・ら!」

空が茜色に染まっている。

「あなたの顔も真っ赤よ」
「それは君もだろ・・・って!話が進まないんだけど」

夕焼け空なんて、もう何度も見ている。
だからといって、見飽きたわけではない。
逆に今になって、あることに気付いた。

「綺麗な夕焼け空じゃない」
「よく見てみろよ」

空が染まっていると言うより、雲が染まっている。
途切れ途切れのうろこ状の雲がなんとも幻想的だ。

「ほんとだ・・・雲が染まってる」

普段の夕焼けがどうなっているのか・・・そんなことは抜きだ。
とにかく、余り目にしたことがない情景が広がっている。

「ロマンティックね・・・」
「そうだろ?」
「仕事帰りじゃなくて、それに隣があなたじゃなければね」

契約が取れず、落胆していたムードには丁度いい会話だ。

(No.219-2へ続く)

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