[No.218-1]願いが叶ったら
No.218-1
登場人物
=牽引役(女性 ) =相手(女性)
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「随分、ご機嫌じゃない?」
クラスメートが興味有りげに声を掛けてきた。
「へへぇ・・・今日ね」
朝の出来事を話した。
駅から学校に向かう通学路にいくつか信号がある。
「そりゃ、あるでしょ?」
話の区切りが悪く、妙な疑問を抱かせた。
「・・・じゃなくて、信号にひとつも引っ掛からなかったんだよぉ!」
何となく“どうでもいい”感が一面に漂う。
「だからなに?って感じなんだけど・・・」
どうでもいいと言うより、やや怒っているように感じる。
「松本人志風に言えば、ラッキーな話?」
「ちょっと違うかな~」
「ハイ、解散!」
しびれを切らして、クラスメート達がその場を去ろうとする。
少しもったいぶったせいかもしれない。
「ごめん、ごめん!ちゃんと話すから!」
ここから一気に話した。
学校までにひとつ、ふたつ・・・全部でななつ、信号機がある。
今日、赤信号で止まることなく全て通過できた。
「それって、珍しいことなの?」
「約2年半・・・帰りも含めて、今日が初めてなんだよ!」
長年の願いが叶った瞬間だった。
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