[No.216-2]見返り美人
No.216-2
プレゼントとかなら、まだマシなのかもしれない。
私はいつしか“心”の見返りを求めていた。
「何につけても、反応が欲しくなったの」
そう思うようになってからは、自然なままではいられなくなった。
それどころか、おかしな考えさえ、生まれてきた。
「おかしな考え?」
「・・・どうして私の想いに応えてくれないの!・・・ってね」
電話やメールの内容も変わって行った。
「でも、恋愛なんてそんなものじゃない?」
助け舟・・・と言う感じではない。
友人の顔を見えれば分かる。
「私も・・・と言うより、多少あるんじゃない・・・そんなところ」
何がどうあるのか、肝心な部分には言及していない。
でも、その掴みどころがない表現が、今は妙にしっくりくる。
「それでね、自分が嫌になっちゃって」
そうなると、素直に彼とは逢えない。
自分の行動に自信がないからだ。
「逢えば逢うほど、迷惑を掛けそうで・・・」
「それだけ、想いが強いってこと!・・・それでいいじゃない」
「見返り美人になればいいのよ」
なんとなく、分かったようで、わからない表現だ。
「それって、見返りは求めるの?」
素直に聞いてしまった。
「もちろんよ!でも、返せばいい・・・彼より多くの愛情を」
(No.216完)
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