[No.215-2]予言なんてそんなもの
No.215-2
「あはは・・・」
「もぉ!笑わなくてもいいじゃないの!」
「ごめん、ごめん!」
予言のことを話すと、大笑いされた。
「考えすぎよ、そんなの」
ある時から、彼の自転車が隣に並ばなくなった。
見慣れない自転車が私達の間に、割り込むようになったからだ。
「ドラマならライバル登場!って感じね」
誰かは分からないけど、その行為に別に意味はないと思う。
「この頃から自転車が離れて並ぶようになったの」
気付いてみれば、心にも距離ができていたような気がする。
そこに来て、彼の転勤だ。
お互いの自転車の距離は、彼が居なくなる予言だったんだ。
「バカね!そんなのこじつけよ」
「だって!現実に彼は・・・」
「予言なんて昔からずっとそんなもの・・・だってね・・・」
過去を振り返って、予言に近い内容を見つけ出す。
元が抽象的だから、どうとでも取れる・・・友人が語ってくれた。
「そうなのかな・・・」
「そうなの!」
友人の言葉が力強く聞こえる。
「でも、電話してみたら?転勤先は分かるんだし」
そうなんだ・・・予言とかどうとか・・・関係ない。
自分に都合の良い言い訳をしていただけなんだ。
「後でこじつけてみたら?彼と上手く行ったわけを」
(No.215完)
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