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[No.215-1]予言なんてそんなもの

No.215-1

登場人物
=牽引役(女性 ) =相手(女性)
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(やっぱり・・・そうだったのね・・・)

「・・・なに、納得した顔をしてるのよ?」
「どうして分かるの?」

意識して声は出さなかったつもりだった。

「そんなリアクションでうなづいてたら、誰でも分かるわよ」
「で、何を納得したわけ?」

会社の駐輪場での出来事だった。
私の自転車と、ある男性の自転車はいつも隣同士になる。
もちろん、最初からそうなるように狙ったわけではない。

「じゃ、相手の人が狙ってたとか?」

それはそれでないと思う・・・たまたま隣であっただけだろう。
それでも毎日並ぶと、妙に親近感が出る。
逆に自転車がない時は心配になるほどだ。

「あはは・・・分かる、分かる!」

学生の頃に経験した“同じ電車”・・・と、同じシチュエーションだ。
但し、世間では一方的な思い込みの方が多い。

「そのうちね、どちらからともなく、話すようになったんだ」

自転車が結んだ縁・・・と、でも言おうか。
隣同士に並ぶ自転車のように、心の距離も近付いた。

「その割には、浮かない顔じゃない?」
「彼、転勤したの」

仲は良かったが、恋人ではなかった。

「・・・そう・・・それは残念ね・・・」
「でね、それを予言するかのようなことがあったの」
「予言?」

私が納得したのは、この予言のことだった。

(No.215-2へ続く)

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