[No.214-1]ワン切り
No.214-1
登場人物=牽引役(女性 )
=相手(女性)
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「・・・うそぉ!」
「急になにさぁ!ビックリするじゃない」
友人以上に私自身が驚いた。
決して大袈裟ではなく、一瞬、心臓が止まりそうなほどだった。
会話が途切れ、ケータイをいじりだした途端のワンシーンだ。
「ごめん・・・ちょっと・・・トイレに行ってくる」
大急ぎで店内のトイレへ向かった。
「ちょっと~漏らさないでよぉ」
背後から友人の声がした。
少なくとも心配しているような声ではない。
行く場所が場所だけに、当然、勘違いされている。
でも、今はそんなことは気にしていられない。
(いやだぁ・・・ドキドキが止まらない・・・)
とにかく、なぜか人目に付かない場所に行きたかった。
トイレに駆け込み、もう一度ケータイの画面を眺めた。
ある人への発信履歴が残っている。
相手を呼び出す音も聞こえた。
「今まで、ずっと繋がらなかったのに・・・」
1年前・・・ぐらいからだろうか。
ある人と連絡が取れなくなった。
呼び出しても聞こえてくるのは、機械的なアナウンスだけだった。
「なによ・・・いまさら!」
誰に対しての怒りか分からない。
全く予期せぬ出来事に、パニックになりそうだった。
(あっ!)
ある事に気付いた。
その瞬間から、一気にパニックもドキドキ感も冷めて行った。
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「(009)小説No.201~225」カテゴリの記事
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