[No.213-2]ORION
No.213-2
♪泣いたのは・・・見せないことが・・・
強い訳・・・君が・・・言っていたからだよ・・・♪
「へぇ~以外に上手いじゃん!」
説明するより先に、その部分を歌ってみせた。
「そうじゃなくて、歌詞に注目してよ」
何となく分かっているような感覚で聴いていた。
歌詞を目の間にしても、そうだった。
「ホントだ・・・聴いたあとに、あれ?って思う」
確かにそんな感じなんだ。
状況も歌詞も、言葉としては理解している。
でも、なんだかスッキリしない。
「先に結果を言ってから、さかのぼるように理由を話してる」
友人らしからぬ分析だった。
なるほど・・・そうかもしれない。
それに、その理由にさらに理由がある・・・そんな構成だ。
「考えている以上に、すごい歌詞かもしれないね」
「ねぇ、時間を巻き戻してみない?」
歌詞を逆から考えれば、はっきり見えてくるのかもしれない。
「そうね!」
「じゃ、始めるね」
朝、理解した内容を改めて口にしてみた。
『君が以前、言ってたよね
“弱さを見せないからといっても強い訳じゃない”・・・と
だから、僕は素直に泣いたんだ』
「・・・どうかな?」
「うん、いい線、行ってる・・・と、思うけど」
「・・・けど?」
「どうして、“僕”は泣いたのかな?」
学校帰りのカラオケBOXで、何度もオリオンを歌うはめになった。
(No.213完)
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