[No.212-1]片付かないもの
No.212-1
登場人物=牽引役(女性 )
=相手(男性)
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彼が進学のため、引っ越すことが決まった。
「いよいよ来週だね・・・」
彼とは恋愛関係にはなかった。
とは言え、友達と呼ぶことには少し違和感を感じる。
友達以上恋人未満・・・そんな表現があてはまる。
「まぁ・・・ね」
「元気ないわね」
その理由が私と別れ別れになることであって欲しい。
それが今の素直な心境だ。
「荷造りが大変でさぁ」
(なんだ・・・そうなんだ)
「・・・それに、美沙(みさ)と頻繁に逢えなくなるだろ?」
「私はどうせ、荷造りのオマケですよぉ!」
嬉しかったけど、わざとすねて見せた。
これでお相子だと思いたい。
彼だって、照れ隠しの意味で私のことをオマケにしたのだと・・・。
「そう怒るなよ、実際、荷物の整理は大変なんだぞ」
「じゃ、手伝いに行くよ・・・時給はいくら?」
それからも、相手をからかうような会話が続いた。
お互い、湿ったムードにならないための精一杯の努力だった。
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