[No.208-2]宇宙の果て
No.208-2
「じゃぁ、さぁ・・・果ての先には何があるのよ」
恭子(きょうこ)が私の理由も聞かずに、その先を質問してきた。
確かに理由よりも、その先が気になるだろうけど。
他のメンバーもそんな雰囲気だ。
「適当に答えた?」
恭子がいつになく、疑いの目を向ける。
「そうじゃないけど・・・」
果てがない方が、ロマンティックなのかもしれない。
有限に囲まれて暮らす私達にとっては、それこそ無限は魅力だ。
「それなら説明してよ」
適当に答えた訳ではないけど、明確な答えも持ってはいない。
(科学者じゃないんだから・・・)
それに、その分野に興味があり、知識があるわけでもない。
「・・・ないの・・・」
「えっ!聞こえないよ」
「ないの・・その先には何もない」
果てがあると言っただけで、その先に何かあるとは言ってない。
「そりゃ・・・果ての先のことは、私が言い出したことだけどぉ」
「何もないけど、今ならあるかもしれない」
きっと私を含めて、果てのことやその先まで想像したことだろう。
「今なら、みんな夢があるでしょ?」
(No.208完)
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