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[No.204-1]背中越しの告白

No.204-1

登場人物
=牽引役(女性 ) =相手(女性)
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「へぇ~それはラッキーだったよね?」
「結果的に・・・だけどね」

通学途中で気分が悪くなった。
連日の猛暑の影響もあるし、夜更かしも原因のひとつだ。

「あいつに感謝ね!」
「そうね、神々しく見えたぐらい」

道端に座り込んでいたら、クラスメートが声を掛けてくれた。
いつも私は始業ギリギリに学校に来る。
だから、通学路には人影が見えない。
それが、今日に限って、あいつも遅刻寸前だった。

「でも、上手く利用されたのかも」
「そんなこと言ったら、悪いよ」

自転車通学の彼は私を後ろに乗せて、学校まで運んでくれた。
私を介抱していたので、遅刻してしまった・・・。
あいつに対する職員室の雰囲気はそんな感じだった。

「あなたは?」
「わたし?・・・決まってるじゃない」

あなたのせいで、あいつが遅刻してしまった・・・。
職員室はそんな雰囲気でもあった。

「でも、自転車に乗せてもらえて良かったじゃん!」
「まぁね、それに・・・」

後ろに乗せてもらった時、あいつの背中にしがみついた。
その時、だった。

「あいつのね・・・鼓動が聞こえたの」

背中越しに鼓動が聞こえた。
自転車を漕いでいるせいかもしれないが、鼓動が早く感じた。

(No.204-2へ続く)

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