[No.204-1]背中越しの告白
No.204-1
登場人物=牽引役(女性 )
=相手(女性)
-------------------------------
「へぇ~それはラッキーだったよね?」
「結果的に・・・だけどね」
通学途中で気分が悪くなった。
連日の猛暑の影響もあるし、夜更かしも原因のひとつだ。
「あいつに感謝ね!」
「そうね、神々しく見えたぐらい」
道端に座り込んでいたら、クラスメートが声を掛けてくれた。
いつも私は始業ギリギリに学校に来る。
だから、通学路には人影が見えない。
それが、今日に限って、あいつも遅刻寸前だった。
「でも、上手く利用されたのかも」
「そんなこと言ったら、悪いよ」
自転車通学の彼は私を後ろに乗せて、学校まで運んでくれた。
私を介抱していたので、遅刻してしまった・・・。
あいつに対する職員室の雰囲気はそんな感じだった。
「あなたは?」
「わたし?・・・決まってるじゃない」
あなたのせいで、あいつが遅刻してしまった・・・。
職員室はそんな雰囲気でもあった。
「でも、自転車に乗せてもらえて良かったじゃん!」
「まぁね、それに・・・」
後ろに乗せてもらった時、あいつの背中にしがみついた。
その時、だった。
「あいつのね・・・鼓動が聞こえたの」
背中越しに鼓動が聞こえた。
自転車を漕いでいるせいかもしれないが、鼓動が早く感じた。
| 固定リンク | 0
「(009)小説No.201~225」カテゴリの記事
- [No.225-2]前にススメ!(2010.12.16)
- [No.225-1]前にススメ!(2010.12.15)
- [No.224-2]落としたメモリー(2010.12.14)
- [No.224-1]落としたメモリー(2010.12.12)
- [No.223-2]ブラジル(2010.12.09)
コメント