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[No.202-2]第一印象

No.202-2

「覚悟はいい?」
「おっ、おどかすなよ・・・」

僕の緊張が無意味に思えるほど、大歓迎を受けた。
それからも、和やかな時間が過ぎた。

「あぁ・・・良かった」

千夏(ちか)の家を後にした瞬間、無意識に口に出た。

「ほんとね!珍しいくらい歓迎されたわよ」
「珍しい?」
「以前ね・・・」

家に入る前に聞かなくて良かった話が続く。

「『また来てね!』って言ってたわよ」
「ほんと?」
「表情を見れば分かるわよ」

直接聞いた訳でもないが、確かにそんな雰囲気は感じた。
最後は名残惜しいのか、見送りまでしてくれた。

「気に入られた証拠よ」
「そうかなぁ・・・」

大喜びしたい気持ちを隠して冷静に返事をした。
なにせ、一番気に入られたい相手に気に入られたからだ。

「そうね、見た目じゃなくて、中身を見てるだろうしね!」

善人を気取るわけじゃないけど、少なくともそう判断してくれた。
だからこそ、素直に嬉しい。

「でも、じゃれつかれたせいで、毛だらけだよ」

(No.202完)

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