[No.201-1]特等席
No.201-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「また、あなたと一緒だね」
車中から見える花火を、昨年と同じ人と見ることになった。
「そうだね」
何とも幸せな時間が続く・・・はずもない!
「なに雰囲気出してんのよ!気持ち悪い」
「あなたものって来たでしょ!」
打合せもなく、幸せそうなカップルをお互い演じた。
それも女同士で・・・。
「また、今年も仕事中に見てるよね」
誰かに対する・・・と言うわけではないが、皮肉が入っている。
花火のシーズンになると、営業の応援で駆り出される。
加えて、なぜか茉希(まき)とペアになる。
「まさか、指名してるんじゃないよね?」
「それはこっちのセリフよ!」
別に仲が悪い訳ではない。
車外では空に花火、地上にカップルが花を咲かせている。
それに浴衣姿の女性達が何とも涼しげだ。
それらが妙に私たちをイライラさせる。
「それに引き換え・・・ねぇ・・・」
黒いスーツが何とも暑苦しく見える。
見えるだけでなく、実際、暑苦しい。
「それもあるけど、まずは目の前の渋滞、なんとかしてよ!」
花火渋滞が更にイライラ度を増して行く。
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「(009)小説No.201~225」カテゴリの記事
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